白襖しろぶすま)” の例文
白襖しろぶすまをめぐらした約二十畳ほどの内に、三つのしょくが照りえていた。彼のすがたと入れちがいに綺羅きらやかな小姓達がつらなって膳や銚子を退げて行った。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呑気のんき白襖しろぶすまに舞楽の面ほどな草体を、大雅堂たいがどう流の筆勢で、無残むざんに書き散らして、座敷との仕切しきりとする。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さなきだに寒い鳥の子の白襖しろぶすま小堀遠州風こぼりえんしゅうふう簡素かんそな床壁と、小机と、そして一輪の山茶花さざんかを投げ入れた蕎麦そばの壺と。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白襖しろぶすまの書院から、忠房のいらいらした声が響いた。次の間へ姿を見せた近侍はひそやかに
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)