白檀びやくだん)” の例文
「それは旦那のでございます。白檀びやくだんとか沈香ぢんかうとかの入つた、長い/\カンカンの線香がお好きで、半ときいぶつて居ると御自慢にして居ました」
ぢん白檀びやくだん、松脂等が吾人に或感を起さしむるのも、決して因襲習慣より來る聯想によるのみでは有るまい。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
白檀びやくだんのけむりこなたへ絶えずあふるにくき扇をうばひぬるかな
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
白檀びやくだんかそけき花にふる雨の雨あし繁し細く見えつつ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
斧にたふれし白檀びやくだん
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
白檀びやくだんかうぢんかう
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
念のために鼻へ持つて行つて嗅ぐと、プーンと白檀びやくだんの匂ひ、平次は容易ならぬものを感じます。
金箔銀箔瑠璃真珠水精すゐしやう以上合せて五宝、丁子ちやうじ沈香ぢんかう白膠はくきやう薫陸くんろく白檀びやくだん以上合せて五香、其他五薬五穀まで備へて大土祖神埴山彦神埴山媛神おほつちみおやのかみはにやまひこのかみはにやまひめのかみあらゆる鎮護の神〻を祭る地鎮の式もすみ、地曳土取故障なく
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
丁々とうとう白檀びやくだんをのおと
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
筆跡もまことに見事で『こんやておくれよ、後生だから』とよく羅生門河岸のあの妓が書いてよこすのとは變り、方式通り天地紅の結び文、開くとプーンと白檀びやくだんが匂つて