白川しらかわ)” の例文
白川しらかわのほうからこの岡崎の丘の林へのぼって来る小さい人影が分るのだ、飄々ひょうひょうとして、春のかぜに、黒い法衣ほうえのたもとがうごいている。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでも飛騨ひだ白川しらかわのような辺鄙へんぴな土地では、たった一人の大工だいくがきて棟上むねあげまですむと、あとは村の人にまかせてかえったそうである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
格好のいい芙蓉峰ふようほうが遥か彼方にそびえている。そのすそめぐって東から西へと、秋の太陽の光線を反射させて銀色に光る白川しらかわが、白絹しろぎぬさらしたようにゆったりと流れている。
初めて尋ねた先生の家は白川しらかわの河畔で、藤崎神社ふじさきじんじゃの近くの閑静な町であった。「点をもらいに」来る生徒には断然玄関払いを食わせる先生もあったが、夏目先生は平気で快く会ってくれた。
夏目漱石先生の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その後、肥後の白川しらかわ、都近くは江口、神崎かんざき、東海道の駅々には、大磯、黄瀬川きせがわ、池田などに名をうたわれた。遊女屋としてややたいを成しかけたのは、播州ばんしゅう室津むろつあたりであろうとのことです。