畳表たたみおもて)” の例文
私は何んともいえず気のかない即ち大阪語でいえばもっさりとした、しかも上等のきものを着せられ、畳表たたみおもての下駄をはかされるのだ。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
畳表たたみおもての麻裏を買ったもので、あとで、同組の生徒が告げ口したと云うことを聞き、その生徒の前で怒鳴どなったことがあった。
私の先生 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
いずれも雪晒ゆきさらしによって、その白さを得ます。寒い国にも恵みは失われておりません。飯山地方の藺草いぐさの栽培と、畳表たたみおもての製造も、忙しい仕事であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
荒物店あらものやをはじめたのも此家ここのことであれば、母上は吉原の引手茶屋で手のない時には手伝いにも出掛けた。女史と妹の国子とは仕立したてものの内職ばかりでなく蝉表せみおもてという下駄げた畳表たたみおもてをつくることもした。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)