畳付たたみつき)” の例文
それからまたその良人おっとさんには腕車くるまへ乗る入費や畳付たたみつき駒下駄こまげたを買う入費を倹約して台所へお向けなさいと勧めます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
蒲団の綿が厚いので、私の体は畳付たたみつきの悪い徳利のやうにどうかすると前へのめりさうでした。
中宮寺の春 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
十五円の俸給は何処にどう使つて了ふのか、時として二円五十銭といふ畳付たたみつきの下駄を穿いたり、馬鹿に派手な羽織の紐を買つたりするのは人の目にも見えるけれど、残余あとが怎なるかは
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
不断著ふだんぎのままで外へ出たのを、しかられはすまいかという心配と、穿いているぽっくりという下駄げた、赤塗の畳付たたみつき綺麗きれいな鼻緒がたって、初めは他所よそゆきだったのが、古くなってすっかり減ってしまい
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)