産着うぶぎ)” の例文
きみはバルブレンのおっかあの所へ手紙をやって、きみが拾われたときの産着うぶぎがどんなふうであったか、たずねてみたらどうだ。
ある日、相当な産着うぶぎにくるまれ泣き叫んでる生まれたばかりの大きな男の児が牡蠣籠かきかごみたいな籠の中に入れられて、彼の家に持ち込まれた。
貌と反対に美しい声で、恐らくはやがて生れる子供の産着うぶぎでも縫つてゐるのであらう、浮き浮きした調子が感ぜられた。
癩を病む青年達 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
死んだ赤子は、やがて真白い産着うぶぎを着せられて、二枚折りの屏風びょうぶの蔭にかされた。医師や産婆の帰る時分には長い悩みのあと産婦も安静な眠りに沈んでいた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
おたよりをくださいましたら、またそのとき産着うぶぎの一枚も贈りましょうわい
船「御簾みすになる竹の産着うぶぎや皮草履かね。」
町中の月 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
それはりっぱなきぬ産着うぶぎ想像そうぞうしたところと、目の前の事実とはこのとおりちがっていた。でもそれがなんだ。愛情あいじょうとみよりもはるかにたっとい。
夢想したりしゃべったりしながら、小さな衣装や産着うぶぎを作りながら、小さな長衣や胴着や下着をこしらえながら、子供は若い娘になり、若い娘は大きな娘となり、大きな娘は人妻となるのである。
やっとおなかがいっぱいになると、みんなはの前へ連れて行って、着物をぬがしてみると、なにしろきれいなうすもも色をした子どもで、りっぱな産着うぶぎにくるまっていた。