みず)” の例文
血がもう出ないのを知ると、彼女の眼はみずみずしく輝いて、五月の夜明けよりも薔薇色になってち上がりました。
彼のいた所からは見えなかったが、その仕掛ははね釣瓶つるべになっているらしく、汲みあげられて来る水は大きい木製の釣瓶おけに溢れ、樹々の緑がみずみずしく映っている。
城のある町にて (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
然しお祭騒ぎをされずに、みず々しい若葉の朝を、きわめて小人数の人に護られて来た仏は、貧しいながら何か幸福のようにも思われ、悲しい人事ではあるが、微笑まれもしたのである。
寺町 (新字新仮名) / 岩本素白(著)
上流さして左岸の林道を進めば、胸のひろがるような、力が余って、からだじゅうにひしめくような、山登り——という一つの大きな仕事——の初めの気構えというものは、いつもながらみず々しい限りだ。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)