現身げんしん)” の例文
この歌は六首の中で一番優れて居り、想像で作っても、死して黄泉へ行く現身げんしんの姿のようにして詠んでいるのがまことに利いて居る。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
天が下には隱家かくれがもなくなつて、今現身げんしんの英傑は我が目前咫尺の處に突兀として立ち給うたのである。自分も立ち上つた。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
魚躍り鳶舞ふを見ればいさゝか心を無心の境に駆ることを得、雨そぼち風吹きさそふにあひては、たちま現身げんしんの心に還る、自然は我を弄するに似て弄せざるを感得すれば、虚も無く実もなし。
山庵雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
範宴はくから、聖徳太子のなしたもうた大業と御生涯とを、景慕していて、折もあらば、太子の古廟にこもって、夢になりと、その御面影おんおもかげ現身げんしんにえがいてみたいと宿望にしていたのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天が下には隠家もなくなつて、今現身げんしんの英傑は我が目前咫尺しせきの処に突兀とつこつとして立ち給ふたのである。自分も立ち上つた。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)