現代いま)” の例文
現代いまでも、田舎などではどうかすると見かけることがあるが、悠長ゆうちょうな江戸時代には、こんなことをばかにやかましく言って、厳重に守ったものだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
現代いまのおいらんなんだそうですけれど、作者だか、絵師えかきさんだかの工夫ですか、意匠こころつもりで、むかし風にあつらえたんでしょう、とおっしゃって、それに、雑誌にはいろいろの作が出ておりますけれど
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
事実それは、もし現代いまの世に、妖術というものが実現されたときのような状態であった。頭が重く、顳顬こめかみの辺がけるようにうずいて、左枝には、花瓶の柔皮花の匂いもいっこうに感ぜられなかった。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
まったく、現代いまで申せば、民芸とでもいうのでしょうか。稚拙ちせつがおもしろみの木彫りとしか、素人しろうとの眼にうつらない。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
現代いまの言葉でいえば、異常に推理力の発達した男で、当時人心を寒からしめた壱岐いき殿坂の三人殺しや、浅草仲店の片腕事件などを綺麗に洗って名を売り出したばかりか
現代いまで言う秘書課のようなところだから、わりに若手わかてが多かったもので、ここで柳営りゅうえいの事務を見習い、才幹さいかんがあると認められれば、それぞれ上の役柄やくがらへ振り当てられて
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
現代いまで言えば、まア、インテリ失業者とモダンボーイの大群、そいつが群衆の中にまじって
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
当分、いや、一生夫婦となれそうもない男に真実を示してこそ、それは、現代いまのことばでいえば、まず、ほんとの愛というものであろうというふうに、おせい様は考えたのだった。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
現代いまの言葉で言う自由行動じゆうこうどうを採り出して、気の合った同士の二人三人ずついつからともなく離ればなれに、そこここのちゃぶ屋や小料理屋の奥座敷へしけ込んで晴れを待つ間を口実に
現代いまならここで、朝刊でも、金梨地きんなしじか何かのほそ長い新聞入れに入れて、お前におすすめするところだが……二人のお子供小姓が、お手水ちょうずのお道具をささげて、すり足ではいってきた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
現代いまの言葉でいうと心臓痲痺しんぞうまひであろう、あまりな不意の驚きに逆上したとたん、あえなくなったものらしいが、引続いたこの二つの凶事に長屋じゅうはたちまち上を下への騒ぎになった。
と、現代いまなら言うところであろう。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
現代いまでいうと、超速度だった。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)