王陽明おうようめい)” の例文
道心は人心じんしんのその正を得たる心と王陽明おうようめいは説いたが、せいを得るとは、人欲じんよくのまざらないところで、つまらぬ感情のなきをいうところであると思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
然し、彼の勢力へへつらうのはいやだと思った。大坂与力という官僚色、洗心洞塾の門下の数、王陽明おうようめい学派の泰斗たいとという名声。それらが、何時もちょっと山陽の頭を高くさせた。
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは王陽明おうようめいの弟子が師のことばを書き取りしものなるが、なか/\おもしろき事有之これあり候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
そして惟精惟一これせいこれいつの解釈は王陽明おうようめいに従うべきだといっていたそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
などいう一首の意味も、吾人ごじんの立場の高低によってどうとも取れる。なおさら修養が積んだならもう一段のぼりて王陽明おうようめいとともにかくぎんずるの日も来たらん。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)