玉梓たまづさ)” の例文
又た義実よしざねが自白のことばに「かくてかの玉梓たまづさが。うらみはこゝにあきたらず。八房の犬となりかはりて。伏姫をて。深山辺みやまべに。隠れて親に物を思はせ。」云々しか/″\
玉梓たまづさ
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
さにづらふ 君が御言みことと 玉梓たまづさの 使も來ねば 思ひやむ わが身一つぞ ちはやぶる 神にもなおほせ 卜部うらべせ 龜もな燒きそ こほしくに いたきわが身ぞ いちじろく 身にしみとほり むらぎもの 心くだけて 死なむ命 俄かになりぬ いまさらに 君か
伊勢物語など (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
彼は玉梓たまづさの悪霊を代表すると共に、仏説の所謂いはゆる凡悩ぼんなうなるものを代表せり、この凡悩の人間に纏夤てんいんするの実象を縮めて、之を伏姫と呼べる清浄無垢の女姫に加へたり。
八房の前世は、彼の金碗孝吉かなまりたかよしに誅せられたる奸婦玉梓たまづさなり。