独擅場どくせんじょう)” の例文
剣体一個に化して怪刃のおもむくところ血けむりこれに従い、ここに剣妖丹下左膳、白日下の独擅場どくせんじょうに武技入神の域を展開しはじめた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
案の定、ずぼしが命中したか、日光ご社参と聞くと伊豆守の顔色にいっそうの狼狽が見えましたので、もうこうなれば右門の独擅場どくせんじょうでした。
フリートマンの独擅場どくせんじょうであって、ベートーヴェンの『月光ムーンライトソナタ』なども入っているが非常に古くて問題でない。
まさに法水の独擅場どくせんじょうだった。しかし、それには一点の疑義が残されていて、それをすかさず検事がいた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
一転して仙道の話となるや、木食仙人の独擅場どくせんじょうで、言々句々精彩を発し、わけても延命術、尺地術、吸気術、飛天術、断食待饑術に至っては、微細に渡ったものである。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「まどき」が盛んに『読売』の投書欄を賑わして殆んど独擅場どくせんじょうの観があった頃、中坂思案外史の名がポツポツ投書欄に見え出した。時としては飯台思案外史とも称していた。
芝居の話もくわしく、知ったか振りをしたぼくが南北なんぼく五瓶ごへい、正三、治助じすけなどというむかしの作者達の比較ひかく論をするのに、上手な合槌あいづちを打ってくれ、ぼくは今夜はまさに自分の独擅場どくせんじょうだなと得意な気がして
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
『コール・ニドライ』や『カロ・ミオ・ベン』もシュワルツの独擅場どくせんじょうであったが、それよりも私はベートーヴェンの『自然の上に神の稜威』を採りたい。
いよいよこの先はわれらの捕物名人の独擅場どくせんじょうとなるべきはずでありました。
猶太ユダヤ系ヴァイオリニストの逐われた後の独逸ドイツに、新進の巨匠として、ほとんど独擅場どくせんじょうの地位に置かれたことは、いろいろの情報で知ったのであるが、レコードで想像したクーレンカンプは