片葉かたは)” の例文
片葉かたはあし 和歌津わかつや村の北の入ぐちにあり是また蘆戸あしべの遺跡也すべて川辺のあしは流につれて自然と片葉となるものあり又其性を
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
少くとも保吉は誰に聞いたのか、狸の莫迦囃子の聞えるのは勿論、おいてき堀や片葉かたはよしも御竹倉にあるものと確信していた。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それから片葉かたはあしというのがござんす、帝様がこの土地へおいでになってから、旦暮あけくれ都の空のみをながめて物を思うておいであそばした故
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
摂津の大物だいもつうら片葉かたはあししかきないといふ伝説は古い蘆刈の物語に載つてゐる。
浪花江なにわえ片葉かたはあしの結ぼれかかり——よいやさ。」
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貝のからなる片葉かたはもて
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
片葉蘆かたはのあし 按ずるにすべて難波は川々多し淀川其中の首たり其岸に蘆生繁おいしげり両葉もろはに出たるも水の流れ早きにより随ふてみな片葉かたはの如く昼夜たへず動く終に其性を
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
夜は?——いや、昼間さへ僕は「お竹倉」の中を歩きながら、「おいてき堀」や「片葉かたはあし」は何処どこかこのあたりにあるものと信じないわけにはかなかつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
片葉かたはとだにも見給みたまはじ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
浜荻はまをぎ三ツ村の左の方に古跡あり里人の云片葉かたはにて常にかわりけるを此辺にては浜荻といふとて今は僅ばかり田の中に残れるを云或云是れ大に誤れり此国の人のみ芦を
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)