燈明台とうみょうだい)” の例文
旧字:燈明臺
即ち堂塔伽藍がらんの修費、燈明台とうみょうだいその他の什器じゅうき購入費、掃除費そうじひ及び読経どきょう僧侶の手当でありますが、そのうちでも最も多く費用のかかるのは前にいうマルです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
わたしは夕飯をすましてから唖々子をおうと九段くだんの坂を燈明台とうみょうだいの下あたりまで降りて行くと、下から大きなものを背負って息を切らして上って来る一人の男がある。
梅雨晴 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その時船はちょうど、川口の左岸にある目印山めじるしやま(後の天保山)のすそから遠からぬ辺にあった。丘には、松の間から黒い燈明台とうみょうだいがそびえている。諸国廻船の目印となる丘だ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうも燈明台とうみょうだいのようである。返事をしないので、与次郎はしかたなしに出て来た。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただ古いのは自在竹のすすのついたのと、新鍋あらなべの占拠によって一時差控えを命ぜられている鉄瓶だけぐらいのものですから、この室内すべてを照明するところの光の本元としての燈明台とうみょうだい
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
九段坂上の燈明台とうみょうだい、日本銀行前なる常盤橋ときわばしその数箇所に過ぎまい。