煽風器せんぷうき)” の例文
銀座ぎんざ駒形こまがた人形町通にんぎょうちょうどおりの柳のかげに夏のの露店にぎわう有様は、煽風器せんぷうきなくとも天然の凉風自在に吹通ふきかよう星のしたなる一大勧工場かんこうばにひとしいではないか。
貝原は宮大工上りの太い手首の汗をカフスににじませまいとして、ぐっと腕捲うでまくりして、煽風器せんぷうきに当てながら、ぽつりぽつり、まだ、通しものの豆をんでいる。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
煽風器せんぷうきはもう片寄せられて、床のかご花生けに秋草がされてあったが、庸三は心も体も疲れていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「私のつてみたいつて事はね、御覧なさい、那処あすこ煽風器せんぷうきが廻つてるでせう……」と部屋の隅つこにある煽風器を指ざした。「あの煽風器に卵を一つ投げつけてみたいんです。唯それだけでさ。」
一、美術床屋に煽風器せんぷうきを仕掛けし事
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)