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焦熱
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しょうねつ
ふりがな文庫
“
焦熱
(
しょうねつ
)” の例文
多少の呼吸も心得ている上に、今は恩人最後の大業を、命にかけても焼き上げようとする一念があった。
焦熱
(
しょうねつ
)
の懸命があった。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まるで火山の
噴火孔
(
ふんかこう
)
、
熔鉱炉
(
ようこうろ
)
の
真唯中
(
まっただなか
)
に落ちこんだのと同じこと。まばゆさに目をあいていることも出来ぬ。鼻をつく異臭にむせて、息も絶え絶えの
焦熱
(
しょうねつ
)
地獄だ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ところで猛火に焼かれた上、池へ飛び込んで死んだというから
焦熱
(
しょうねつ
)
地獄と八寒地獄、こいつを経たというものさ。その上死んでからは無縁仏だ。これじゃア実際浮かばれまいよ。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ああ妾の生活は、まるで
焦熱
(
しょうねつ
)
地獄だ。妾はどうしてこんなに苦しまなければならんのだろう。何を信じてよいのか、何を信じていけないのか、妾は全くわからなくなってしまった。
オパール色の手紙:――ある女の日記――
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
焦熱
(
しょうねつ
)
地獄
(
じごく
)
のような工場の八時間は、僕のような変質者にとって、むしろ快い
楽園
(
らくえん
)
であった。焼け鉄の
酸
(
す
)
っぱい匂いにも、機械油の腐りかかった悪臭にも、僕は
甘美
(
かんび
)
な興奮を
唆
(
そそ
)
られるのであった。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
博士 (朗読す)——
紅蓮
(
ぐれん
)
の井戸堀、
焦熱
(
しょうねつ
)
の、地獄のかま
塗
(
ぬり
)
よしなやと、急がぬ道をいつのまに、越ゆる我身の死出の山、死出の
田長
(
たおさ
)
の田がりよし、
野辺
(
のべ
)
より先を見渡せば、過ぎし
冬至
(
とうじ
)
の冬枯の
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鍬
(
くわ
)
の下から火が燃え、
担
(
かつ
)
ぐ石材は熱鉄の
焔
(
ほむら
)
を立て、
汲
(
く
)
む水も湯のような
焦熱
(
しょうねつ
)
の刑場だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“焦熱”の意味
《名詞》
焦熱(しょうねつ)(歴史的仮名遣い: せうねつ)
焦げるような熱さ。
仏語。「焦熱地獄」の略。
(出典:Wiktionary)
焦
常用漢字
中学
部首:⽕
12画
熱
常用漢字
小4
部首:⽕
15画
“焦熱”で始まる語句
焦熱地獄
焦熱慕念
焦熱地獄化