炭薪すみまき)” の例文
炭薪すみまき奉行だの土木奉行だのは、役目だけからいえば、格の高い譜代ふだいの士が勤める地位のものであるが、彼の血は多分に若いのだ。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かぶにくッつけてさ、それ、大かぶにありつく、とか云って、買手が喜ぶものだそうだ。いや、これは串戯じょうだんよ。船はちゃんころでも炭薪すみまきゃ積まぬというのが唄にもある。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
炭薪すみまきの御用聞でもあるかと見れば、そうでもなかりそうだし、豆絞まめしぼりの頬かぶりをしたままで人に物をこうとは、大胆なような、無邪気なような米友を、二人はしばらく熟視して
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼等回回教徒マホメダンの習慣として人種の煮炊にたきした物は食はない、炭薪すみまき携帯でだ水の給与を船から受けるだけさうして自炊した食物を大皿に盛つて右の手でつかんで食ふ。一切箸を用ひない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
竿さお紐尺ひもじゃくとを持って測地師が土地を測るような小説や脚本を書いている人の事だから、今時分は苦虫をつぶしたような顔をして起きて出て、台所で炭薪すみまきの小言でも言っているだろうと思って
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その間に、かれは富山の城下から連れて来た百姓上がりの炭薪すみまき商人——田畑小兵衛たばたこへえという者を、間近によんでいた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今までの炭薪すみまき奉行、村井長門守むらいながとのかみ免役めんえきになって、その跡役へ、藤吉郎が奉行に任じられた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あ……お城普請しろぶしんの折の大工棟梁あばたも手伝いに見えておるな。左官の女房もやって来ておる。……炭薪すみまき奉行の頃から親しい、山の者も村の者も。……何ぞといえば忘れずに皆」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、藤吉郎が炭薪すみまき奉行を勤めていた頃の、お蔵衆くらしゅうや、台所方の同僚たちだった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
直江山城守は、もと上杉家の台所に勤めていた炭薪すみまき係の一小吏しょうりの子だった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)