かがり)” の例文
その時、大円房覚明は、無反むぞりの戒刀を兜巾ときんのいただきまでふりかぶって、かがりのような双のまなこに必殺の気をみなぎらせ
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昔宮中で小官吏がかがりに火を付けて大声に鼠いぶし鼠燻しと呼んで庭内を曳きずり廻した後、王様から穀物のったのを入れた袋を賜わった事が民間に伝わったものであると。
どっかと胡坐こざして、かがりの如き眼光鋭く、じろりと新九郎を睥睨へいげいした様子、これなん大円房覚明と見えた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くわっと頭巾のうちから、かがりの如き眼をみひらいた男は、雨龍太郎なのであった。彼は昨夜ゆうべ麓の刈石かるいしで泊っていたが山荘の火の手を見て、すわ一大事と駈け上がって来たのである。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)