火燄かえん)” の例文
(この間牝猿の等閑になしゐたる鍋煮え越す。大いなる火燄かえん燃え立ちて、烟突に向ふ。魔女恐ろしき叫声をなし、烟突より火燄の中を穿うがちて降る。)
火燄かえんも螺線になッて燃えるのだが凡眼では見えないのサ。風は年中螺旋に吹てるのサ。小サイ奴が颶風つむじだよ。だから颶風なぞは恐ろしいものではない。
ねじくり博士 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
黒烟りを吐き出して、吐き尽したる後は、太き火燄かえんが棒となって、熱を追うて突き上る風諸共、夜の世界に流矢のきを射る。あめを煮て四斗だる大の喞筒ポンプの口から大空に注ぐとも形容される。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そしてふいに扉の隙間が眼をみひらいたかの如く火燄かえんの色に染まった。
荒法師 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
柳眉りゅうび星眼火燄かえんの唇。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
随分数多いことで有ったろうし、そして皆氏郷の立場を諒解するに及んで、奮然として各自の武士魂に紫色や白色の火燄かえんを燃やし立てたことであろう。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
のどの天井から恐ろしい勢で火燄かえんが涌き出る。11645
水為掛みずじかけも好い。火燄かえんも好い。岩組なども結構です。