潮除しおよ)” の例文
なぜかといえば、潮除しおよけのとまを払って、三ツのつづらの真ン中へ、竹屋三位卿、どったり腰を乗せて磐石ばんじゃくのごとく構えている。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船の一隅、潮除しおよけのしとみの蔭に、とまをかぶっていたふたりの客が、ムクムクと身を起こしてあたりの旅客の様子を眺めた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城下へ帰る武士、諸州巡拝の山伏、人形箱を首にかけた阿波祭文あわさいもん、そのまた雑多なものがドカドカと混み入って、潮除しおよけのしとみをめぐらした胴の間へうずまった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
重喜しげよしの身の廻りの物を運ぶ侍女こしもとたちや、潮除しおよけの幔幕まんまくを張りめぐらす者や、かいをしらべる水夫楫主かこかんどり、または朱塗しゅぬりらんの所々に、槍お船印ふなじるしの差物を立てならべるさむらいなどが
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)