トップ
>
潦
>
にわたずみ
ふりがな文庫
“
潦
(
にわたずみ
)” の例文
池は小さくて、武蔵野の
埴生
(
はにゅう
)
の小屋が今あらば、その
潦
(
にわたずみ
)
ばかりだけれども、
深翠
(
ふかみどり
)
に
萌黄
(
もえぎ
)
を
累
(
かさ
)
ねた、水の古さに藻が暗く、取廻わした石垣も、草は枯れつつ
苔
(
こけ
)
滑
(
なめらか
)
。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
森の中の
瀝青
(
チャン
)
のような、
玄
(
くろ
)
ずんだ水溜りは、川流が変って、孤り残された上へ、この頃の雨で
潦
(
にわたずみ
)
となったのであろう、その周囲には、緑の匂いのする、
黴
(
かび
)
の生えた泥土があって、
踝
(
くるぶし
)
まで吸いこまれる
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
春雨を豊かに吸うた境内の土、処々に侘しく残った
潦
(
にわたずみ
)
、古めかしい香いのする本堂、
鬱然
(
うつぜん
)
として厳しく立ち並んだ老木の間には一筋の爪先き上りの段道がある。その側には申し訳のような谷川がある。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
その後を水が走って、早や
東雲
(
しののめ
)
の雲白く、煙のような
潦
(
にわたずみ
)
、庭の草を流るる中に、月が沈んで舟となり、
舳
(
へさき
)
を
颯
(
さっ
)
と乗上げて、
白粉
(
おしろい
)
の花越しに、すらすらと
漕
(
こ
)
いで通る。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
潦
漢検1級
部首:⽔
15画
“潦”を含む語句
行潦
水潦
雨潦
流潦
潦水
蘋蘩行潦