湖面こめん)” の例文
はるかに芝原水源地が、ひょうたん形をして湖面こめんがにぶく光っている。明日の行程こうていでたどりつく目的地の湖尻こじりの小屋が、豆つぶほどに見える。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いくほどにかすみはだんだん深くなりました。そして湖の岸の土手どてまでいくと、湖面こめんはまるでゆめを見ているように、とろんとかすんでいました。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
湖面こめんへ浮かんでこなかったが、ややしばらくたつと、そこからズッとはなれた竹生島ちくぶしま西浦にしうらあたりに、名刀般若丸はんにゃまるの血流しをくわえたまま失神している竹童と
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秋の晴湖面こめんにあそぶ紋白蝶もんしろの影ひとつ見つつぽんぽん舟行く
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
既に秋のは丘の彼方に落ち、真黒な大杉林の間からは暮れのこった湖面こめんが、切れ切れに仄白ほのじろく光っていた。そして帆村探偵の姿も、やがてしのやみの中にまぎれこんでしまった。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)