添刪てんさん)” の例文
わずかに書肆しょしきたって旧著の改版を請うがまま反古ほごにもすべき旧稿の整理と添刪てんさんとに日を送ればかえってすぎし日の楽しみのみ絶え間もなく思い返されるばかり。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
修理主人真田信濃守応接所警衛おおせ付けられ、修理儀も人数に加わり出張致しおり候に付き、通弁のため漢文にてしたため置き候書翰草稿に添刪てんさんを乞い、その書翰に曰く
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「そうです。そんな批評はおよしなさい。宗匠の添刪てんさんの態度から幾らも進まないそんな処に彽徊ていかいして、寂しいではありませんか。勿論私も、さびしくて為方がないのです。」
歌の円寂する時 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
即ち明治四十二年の秋八月のはじめに稿をおこし十月の末に書き終るが否や亡友井上唖唖いのうえああ君に校閲を乞い添刪てんさんをなしたのち草稿を雑誌『新小説』編輯者へんしゅうしゃもとに送った。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)