海部あまべ)” の例文
わが邦の海岸近い低地に住む人々は、山を知らなかった海部あまべの子孫でもあるのか山家の生活に付いていつもえらい誇張をやるので困る。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
事が起ると足擦あしずりしてお妬みなさいました。しかるに天皇、吉備きび海部あまべあたえの女、黒姫くろひめという者が美しいとお聞き遊ばされて、し上げてお使いなさいました。
漁夫はすなわち海人あまで、古えにいわゆる海部あまべの部族である。
センバという名称は西は大分県海部あまべ郡、肥前ひぜん千々岩ちぢわ、また熊本県八代やつしろ郡などにも見いだされるが、主としては東北の端々はしばしにおいて行われている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ここに天皇、吉備きび海部あまべあたへが女、名は黒日賣くろひめそれ容姿端正かほよしと聞こしめして、喚上めさげて使ひたまひき。然れどもその大后の嫉みますをかしこみて、本つ國に逃げ下りき。
耕作に重きを置かなかった海部あまべ種族などが逐次に内陸を経略するには最も形勝の地と認めてよろしい。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この御世に、海部あまべ・山部・山守部・伊勢部をお定めになりました。劒の池を作りました。また新羅人しらぎびとが渡つて來ましたので、タケシウチの宿禰がこれをひきいて堤の池に渡つて百濟くだらの池を作りました。
海部あまべは日本人よりは多分遅く渡来して、ひどい片隅の文字なき生活を続けていた人たちだけれども、海の知識においては誰よりもゆたかなるものを持ち、しかも文字が無いばかりに
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この御世に、海部あまべ山部やまべ山守部やまもりべ伊勢部いせべを定めたまひき。また劒の池を作りき。また新羅人しらぎひとまゐ渡り來つ。ここを以ちて建内の宿禰の命、引きて、堤の池に渡りて百濟くだらの池を作りき。