流言るげん)” の例文
「いやいや、味方の裏切りだ」などとたれがともない流言るげんが、寝ぼけまなこの兵のなだれを、いやが上にも吹き惑わせた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
激動、不安、そして遂にあの馬鹿気きった流言るげん騒擾そうじょうだ。
洛内の取締りは、厳にいましめてあるが、なお日も浅いゆえ、さまざまな流言るげんかれ、陰にあっては、御行動を誹謗ひぼうし奉るような説をなす者もあろう。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
教化きょうげの道を誤って、衆民を煽動せんどうし、財をあつめては武器をたくわえ、門を出ては流言るげんを放ち、いたずらに政道を紛糾ふんきゅうさせ、宗門末派を利用しては私権をむすぶなど——手におえぬ醜状しゅうじょう
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
冷泉家や斎宮いつきのみやなどをとおして、それとなくとうの大敵、大塔ノ宮を陥れるざんを植えてゆき、道誉もそれにあわせて、馴じみの武器商人や公卿貴紳きしんのあいだに、巧妙な流言るげんをまいていたのだった。
捕まッた殿ノ法印は、大塔ノ宮が片腕とたのんでいた豪僧であるのみならず、叡山という手の届かない巣にたてこもって、のべつ洛内をおびやかし、流言るげんをおこない、なんとも手を焼いていたものである。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんなばかな。おそらく、それは敵方の流言るげんだろう」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
流言るげんにすぎぬ」と、打消し
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「嘘だ。流言るげんにすぎぬ」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)