法施ほふせ)” の例文
三九濁世ぢよくせ厭離えんりし給ひつることのうらやましく侍りてこそ、今夜こよひ四〇法施ほふせ随縁ずゐえんしたてまつるを、四一現形げぎやうし給ふはありがたくも悲しき御こころにし侍り。
長谷の御寺の観世音菩薩の御前に今宵は心ゆくほど法施ほふせをも奉らんと立出でたるが、夜〻に霜は募りて樹〻に紅は増す神無月かんなづきの空のやゝ寒く、夕日力無くうすつきて、おくれし百舌の声のみ残る
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
二九ことにも来りて通夜つやし奉り、三〇後世の事たのみ聞ゆべきに、さいはひをりなれば、霊廟みたまやに夜もすがら三一法施ほふせしたてまつるべしとて、杉の下道のをぐらきを行く行く