沙浜すなはま)” の例文
る日———此処へ来てから三日ぐらい立った時だったでしょうか、ひるから水を浴びに行って、一時間ばかり泳いだ後、二人が沙浜すなはまにころがっていると
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
松林をずつと向うに越して弓弦ゆみづるを張つたやうになつてゐる沙浜すなはまに波の白く寄せてゐるあたりまでも行つた。大きな岩の一つ海中に立つてゐるあたりへも出かけた。
磯清水 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
それは晩春の明るい正午おひるさがりのことでありました。紺青こんじょうたたえたような海には、穏かな小さな波があって、白い沙浜すなはまには、陽炎かげろうが処どころに立ち昇っておりました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ただし予が知るところ、邦産は三種にせよ三態にせよ、いずれもひとしく役に立つ。初夏から初冬まで海より遠からぬ丘陵また殊に沙浜すなはまに少なからず、注意せば随分多く集まる物と思う。