沙地すなち)” の例文
殊に此地は水清く、南に平原ありて沙地すなちなり。北には緑葉りょくようの密に針葉樹多く、其奥に高山ありて、為めに小虫はすくなし。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
此処ここに野宿しよう」と独語して、風をよけた木蔭の窪い沙地すなちに、附近の流木を山のように積み上げて、大きな焚火を作り、外套にくるまって横になった。
初旅の大菩薩連嶺 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
かつて来たことのない沙地すなちの原へ出た。おぼろに月は空に霞んでうねうねとした丘が幾つも幾つもある。
薔薇と巫女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この時、私の頭にはふと一幅いっぷくの神異的な書面が思い浮んで来たものである。紺青こんじょう色の空に一輪の金色こんじきまるい月が出てその下は海岸の沙地すなちで、一面に見渡すかぎり清々とした西瓜すいかが植っている。
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)