ちゅう)” の例文
これが爆発すると、四門の大砲から砲弾が連続的に発射されるのと同じ音響を発するのだ。殺傷力はないが、砲煙が高く天にちゅうするという。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
っと叫ぶ間もなく、轟然、地軸が裂けるかと思うばかりの大音響と共に、四郎の乗っている櫓は天にちゅうする真赤な火柱の中に包まれてしまった。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
その豪壮な、天にちゅうした金剛不壊力ふえりきの表現を見るがいい。その四方に斉整した帆綱の斜線、さながらの海上の宝塔。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
しかしこの句が若かった当時の自分の幻想の中に天にちゅうする赤白の炎となってもえ上がったことも事実である。
俳諧瑣談 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それをきっかけに一同いつの間にやら同じ上機嫌グッド・ユウモアに解け合って、何物をも辞しない探検家の精神スピリット埃及尖塔オベリスクみたいに高く天にちゅうしていると——義士の勢揃い宜しくなこの騒ぎに
アリゾナ型戦艦は大爆発を起し、火焔は天にちゅうして、灼熱した鉄片は空中高く飛散したが、須臾しゅゆにして火焔消滅、これと同時に、敵は空襲と誤認して盲滅法の対空射撃を始めてゐた。
真珠 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
なにはともあれ、浅間の壮観は、爆発直後、天にちゅうする大噴煙の躍動である。
わが童心 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
サーッと、白竜のように、天にちゅうした光の大柱! それが、やや北寄りの空に三、四条、サーッと交叉こうさした。
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
手近にいた者が駈けだそうとすると、その前に、またつづけさまに三発、ドドドーンと白煙が天にちゅうする。
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)