汐風しほかぜ)” の例文
汐風しほかぜりやうを吹きて、呼吸漸くしづまり、彼方の岸に登りしときは、心も頗るおちゐたり。
我はみづから面のくが如く目の血走りたるを覺えて、きれ鹹水しほみづひたして額の上に加へ、又水をわたり來る汐風しほかぜすこしをも失はじと、衣のボタン鬆開しようかいせり。されど到る處皆火なるを奈何いかにせん。