気爽きさく)” の例文
気爽きさくで酒のお酌などの巧いおとらは、夫の留守などに訪ねてくる青柳を、よく奥へ通して銚子ちょうしのおかんをしたりしているのを、お島は時々見かけた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
気爽きさくらしい叔母はちょッと垢脱あかぬけのした女であった。まゆの薄い目尻めじりの下った、ボチャボチャした色白の顔で、愛嬌のある口元から金歯の光がれていた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
先月中小田原の方へ行っていて、自分もともをしていたことなぞ、お竹は気爽きさくに話し出した。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お庄は気爽きさくに、「ハイ。」と言って、水口の後の竿さおにかかっていた、塩気のみ込んだような小風呂敷をはずして瓶を包みかけたが、父親の用事をするのが、何だか小癪こしゃくのようにも考えられた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
秋の末になると、お作は田舎の実家さとへ引き取られることになった。そのころは人並みはずれて小さい腹も大分目に立つようになった。伝通院前の叔母が来て、例の気爽きさくな調子で新吉に話をつけた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そして何時にかわらぬ威勢のいい調子で、気爽きさくにおとらと話を交えた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
子息むすこは小さい時から大事にして育ててあったから、世間摺れのしているようなこともないし、母親は少しは芸事なども出来て、気爽きさくな女だから、そんなに窮屈な家ではなかろうということであった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お庄は気爽きさくに返事をして、急いで傍へ寄って行った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)