気毒きのどく)” の例文
旧字:氣毒
「どうか、うちのあひるさんにも、同じ洋服をこさへて下さるやうに、おねがひして下さいませんか。ほんとにお気毒きのどくですけれども。」
お猫さん (新字旧仮名) / 村山籌子古川アヤ(著)
宜いから待ち給え、妹さんにはお気毒きのどくだが、もう数時間この苦痛を堪忍たえしのんで貰わなければならぬ、この事件は生やさしい問題ではない。
亡霊ホテル (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「でも、あの人はまた私が不可いけないんだと言うんですの。だから私もそうとばかり思っていたんですけれど……真実ほんと気毒きのどくだと思っていたんです」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「うう、それぢや君は何か、僕のかうして落魄らくはくしてをるのを見て気毒きのどくと思ふのか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『それはまァお気毒きのどくな……あなたも随分ずいぶんつらい修行しゅぎょうをなさいました……。』
中には、その種本たねぼんにした、切利支丹キリシタン宗徒の手になつた、ほんものの原文を蔵してゐると感違ひをし、五百円の手附金を送つて、買入れ方を申込んだ人があつた。気毒きのどくでもあつたが可笑をかしくもあつた。
風変りな作品に就いて (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
孝子は気毒きのどくさに見ぬ振をしながらも、健のその態度やうすをそれとなく見てゐた。そして訳もなく胸が迫つて、泣きたくなることがあつた。其麽そんな時は、孝子は用もない帳簿などをいぢくつて、人後ひとあとまで残つた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「お気毒きのどくさまですがね、たくはお花なんか習っているひまはないんですから、今日きりわたくしからお断りいたします」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「やれやれ気毒きのどくな、『今日は出かけますからお休みです。』とそこにはりつけてありますよ。」
お猫さん (新字旧仮名) / 村山籌子古川アヤ(著)