ほろ)” の例文
「凡てのものゝほろびて行く姿を見よう。」私はそんな事を考へてぢつと我慢して其の子供の死を待受けてゐたのである。
落葉降る下にて (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
「其音ノリトに似て、又歌声にワタる」と評した位だ。語部は、宮廷に於てさへ、事実上平安期には既にほろびて、猿女サルメの如きも、大体伝承を失うて居た。まして、地方は甚しかつたであらう。
かれ糜爛びらんした横頬よこほゝはもうほろびようとして薄明うすあかりにぼんやりとした。はげつそりとちてかれ姿すがたらうとした。かれけて踉蹌よろけながらた。さむかぜつめたいやいばびせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)