民顕ミユンヘン)” の例文
僕は父の歿した時、民顕ミユンヘン仮寓かぐうにあつてこのことを想出おもひだして、その時の父の顔容を出来るだけおもひ浮べて見ようと努めたことがあつた。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
今はふさがつてゐるけれど、四五日てばどれかが明くといふことである。かへりみちで、日本媼の息子は、『民顕ミユンヘン人は何でも真直まつすぐに物いふから喧嘩けんくわしてはいけませんよ』
南京虫日記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
僕は維也納ウインナの教室を引上げ、きふを負うて二たび目差すバヴアリアの首府民顕ミユンヘンに行つた。そこで何や彼や未だ苦労の多かつたときに、故郷の山形県金瓶村かなかめむらで僕の父が歿ぼつした。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
六月一日、Spetechシユペテツヒ といふ民顕ミユンヘンの図書館員と共に汽車でイーサルに沿うてさかのぼつた。けふの午前には在郷軍人の記念儀式があつたので、それを見てそれが終つてから汽車に乗つた。
イーサル川 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)