死状しにざま)” の例文
彦八という若い手先は親分の枕もとへ呼び付けられて、半七の前で、備前屋の娘の死状しにざまをもう一度くわしく話せと云われた。
半七捕物帳:29 熊の死骸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
姉のあさましい死状しにざまや、烈しい苦悶の跡を止めた死顔の事などは申上げますまい。回想するさえ私には恐ろしいのです。
ある抗議書 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
悲惨なお柳の死状しにざまが、さまざまに想像された。おそろしい沈鬱ちんうつに陥ってしまった発狂者は、不断は兄やあによめなどとめったに口を利くこともなかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
誓つたけれども、この無残な死状しにざまを見ては、罪もうらみも皆消えた! 赦したぞ、宮! おれは心の底から赦したぞ!
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
幸右衞門のうちでは圓次郎が帰らぬというのでうちの騒ぎは一方ならず、すると或る人の知らせに、圓次郎な庚申塚の前になさけない死状しにざまをして居るというので、急に検使を受け
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
活きて爾苦しかくるしめる身をも、なほさすがにたましひぬべく打駭うちおどろかしつる彼等が死状しにざまなるよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と云うから簑笠を反除はねのけますると、情ない死状しにざま
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)