正朔せいさく)” の例文
天子の正朔せいさくを奉ぜず、あえて建文の年号を去って、洪武三十二年と称し、道衍どうえん帷幄いあくの謀師とし、金忠きんちゅう紀善きぜんとして機密に参ぜしめ、張玉、朱能、丘福きゅうふくを都指揮僉事せんじとし
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
中央の標準に遵拠じゅんきょせしめようとしていたが、それは正朔せいさくすなわち月と日のかぞえ方を主としていて、これに伴なういろいろの行事に至っては、すべて土地毎の自然の発達にまかせてあった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
沖縄は依然として清朝の冊封を受けてその正朔せいさくを奉ずるようになりました。
琉球史の趨勢 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
全体日本のような南北に細長い山がちの島で、正朔せいさくを統一しようとすることが実は自然でなかった。わずかに月のもちの夜のかぞえやすい方法をもって、昔の思い出を保つことができたのである。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかるにトシを稲作の一期をかくする言葉だったと知りつつも、いわゆる正朔せいさくの統一にはなお外国の前例を追い、輸入の暦法れきほうばかりを唯一の知識としたために、中央ではまず年の境が農業と縁遠く
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)