権現様ごんげんさま)” の例文
旧字:權現樣
いつにも変らぬそのお爽やかさ、さすがは権現様ごんげんさまお血筋、二なき御明君と主水之介よろこばしき儀にござります
「この小判一枚を見ても、権現様ごんげんさまの威勢と、その御政治向きのたのもしさがわかるじゃございませんか」
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
権現様ごんげんさま戦場お持出もちだしの矢疵やきず弾丸痕たまあとの残つた鎧櫃よろいびつに納めて、やりを立てて使者を送らう。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ましてや、流れも清き徳川の源、権現様ごんげんさま御廟ごびょうをおつくろい申しあげるのですから、たとい、一藩はそのまま食うや食わずに枯れはてても、君の馬前に討死すると同じ武士もののふの本望——
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
神君しんくんだの権現様ごんげんさまだの東照公だのと言いはやす裏側で民衆の口は狸オヤジという。
家康 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
さがり松だの権現様ごんげんさまだの紀三井寺だのいろいろのものがありますが
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その当家の御先祖というのは……当家の御先祖は権現様ごんげんさまよりずっと古いのでございます。このあたりから金を盛んに掘り出しましたのは武田信玄公の時代でございます。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「いいえ、只の百姓でござります。家代々の水呑み百姓でござりまするが、三河者みかわもの権現様ごんげんさまの昔から、意地と我慢と気の高いのが自慢の気風きふうでござりまする。それゆえ頂きましては——」
しまいに兄は「じゃその権現様ごんげんさまへでも行くかな」と云い出した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お宮のあるところから十里四方は、いつの世までも年貢おゆるしのところ、権現様ごんげんさまも湯の島へ御入湯の時に御会釈ごえしゃくでござんした。たとえ罪人でもあの土地へ隠れておれば、おかみも知って知らぬふりを
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それから権現様ごんげんさまの御政治になって、天下がはじめて泰平になりました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)