槙町まきちょう)” の例文
旧字:槇町
槙町まきちょうに殺しがあると聞いて、縄張内ではありませんが、様子を見に出かけようとしていると、八丁堀の与力よりき、笹野新三郎のところから火急の用事があるから
弘庵は弘化四年土浦の藩校を去り江戸に帰って日本橋槙町まきちょう僦居しゅうきょし翌年麹町平川町に移りまたその翌年下谷三味線堀しゃみせんぼりに転じ家塾を開いてこれを彀塾こうじゅくと称した。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
和泉屋の晴れの披露目ひろめとあって、槙町まきちょう亀屋かめやの大浚えにはいつもの通り望月が心配して下方連を集めて来たまでは好かったが、笛を勤めるのが乗物町の名人又七と聞いて
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「とうとうお目出度めでたくなったそうだな、ほら、あの槙町まきちょう二弦琴にげんきん師匠ししょうも。……」
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「ばか、そんな所に、脈があるか。はやく槙町まきちょうの外科の先生を呼んで来い」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「菊之助は血眼ちまなこだ、——それから、徳三郎の囲っている女が判りました。槙町まきちょうの小唄の師匠で、お崎って凄い年増ですよ。三月みつき越し行かないから手が切れたのかと思ったら、昨夜ゆうべ久し振りでノコノコ出かけましたよ」