はんのき)” の例文
い茂ったやわらか草叢くさむらが、かすかな音をたてて足の下にしなっていった。はんのきの立木が半ば水に浸って、河の上に枝を垂れていた。はえが雲のように群れて飛び回っていた。
白樺や、はんのきや、団栗どんぐりなどは、十月の初めがた既に黄や紅や茶褐に葉色を変じかけていた。露の玉は、そういう葉や、霜枯れ前の皺びた雑草を雨後のようにぬらしていた。
パルチザン・ウォルコフ (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
一面に青青と繁った短い笹を下草にしてかんばはんのきの類などの交ったつがの深い林である。それは勿論木立がそれ程珍らしい訳ではない、秩父あたりにもこれ位の森林はいくらもある。
秋の鬼怒沼 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
キヤベツや薔薇の藪にたかつてゐる木虱は緑色をしてゐるし、接骨木や、豆や、けしや、蕁麻いらくさや、柳、ポプラのは黒、樫とあざみのは青銅色、夾竹桃や胡桃くるみとかはんのきとかにつくのは黄色だ。
彼女は時々覚まします、睡つてゐるはんのき