榊葉さかきば)” の例文
拝殿の神簾みすのかげに、今二つの御灯みあかしがついた。榊葉さかきばのかげに光る鏡をかすめて、下げ髪水干すいかん巫女みこが廊下の上へ静かに姿を立たせた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神人かんびとの手に取り持たる榊葉さかきば木綿ゆふかけ添ふる深き夜の霜
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
いはと山緑も深き榊葉さかきばをさしてぞ祈る君が代のため
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
皆、その一穂いっすいを仰いだ。母堂の心のつつまれている白い物と、榊葉さかきばの青さとが、何か、清々すがすがしいものを人の胸へうつした。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青葉若葉の木がくれに、紅白ののぼりだの、唐錦からにしきばんだの、榊葉さかきばをくくりつけた馬出うまだしの竿さおだの、人間で埋められた入口も見えはじめた。家成の古車は、そのときもう無数の他の牛車に押しもまれていた。