業風ごうふう)” の例文
黄いろな陽の光をかすめて業風ごうふうのような風が吹いて、それが焔を八方に飛ばし、それが地震で瓦を落した跡の簷のソギをばらばらと吹き飛ばしていた。
変災序記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
 業風ごうふう過ぐるところ花空しく落ち 迷霧開く時銃忽ち鳴る 狗子くし何ぞかつて仏性無からん 看経かんきん声裡三生さんせいを証す
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ただ有り合ふ世だけに当嵌あてはめて、その場その場に身を生すことを考へて来た——事実、恋ふべき過去でも無い、信じられる未来とも思へなかつた、業風ごうふうの吹くままに遊び散らし、書き散らし
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
業風ごうふうふきてこれうなが
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飢鷹に髓をつつかすのだ、それで、肉が腐りただれてなくなると、神水をかけて業風ごうふうに吹かすと、また本の形になる、こんな奴は、億万ごうを経ても世には出られないよ
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)