検覈けんかく)” の例文
旧字:檢覈
この矛盾を根柢まで深く解剖かいぼうし、検覈けんかくすることを、そうしてそれが彼らの確執かくしつを最も早く解決するものなることを忘れていたのである。
かかる瞑想めいそうのうちに、傲慢ごうまんの念は消えうせた。彼はあらゆる方面から自分を検覈けんかくしてみた。彼は身の微弱なるを感じて、幾度か涙を流した。
われ等は寧ろその細かい空気と気分とを検覈けんかくし、観察して、以てそこから人間を学ばなければならない。
須磨子の死 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
筆者は少年のころから専らにんじゅつを愛好しかつ惑溺わくできするあまり、これが史的事業の検覈けんかくと究明のため、文献を渉猟し遺跡を踏査して、すでにその蘊奥うんおうをきわめているが
最初からしていくたの矛盾むじゅんが雑然として混在していたにかかわらず、今日までまだ何らの厳密なる検覈けんかくがそれに対して加えられずにいるのである。
それでも彼は、そういう打撃の後に自分の本心をのぞき込み、自らおのれを検覈けんかくせざるを得なかった。
現在では幕府政治の検覈けんかくにまではいって来ている、こうして集っているときは慷慨こうがいの気に燃え、大義顕彰の情熱に駆られるが、塾を去って独りになるとき果してその情熱が持続しているかどうか
菊屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
すべてこれらの誤謬は、論者がすでに自然主義という名に含まるる相矛盾する傾向を指摘しておきながら、なおかつそれに対して厳密なる検覈けんかくを加えずにいるところから来ているのである。