ぼん)” の例文
『凡てはぼんなりか? 世界は梵の中に始まり終り又呼吸するものなるを黙想すべし……か、アハハ……汎神論か? 然し、面白い事を云ふね』
この調子で行くと御経おきょうの文句は、ぼん音とか漢音とか、なるべく解らぬようにそらんじた方がもっともらしく聞えていい。
ぼん名ヴィヤグラ、今のインド語でバグ、南インドのタミル語でピリ、ジャワ名マチャム、マレー名リマウ、アラブ名ニムル、英語でタイガー、その他欧州諸国大抵これに似おり
お名前も、足利惇氏あつうじさんである。京大ではぼん文学(東大でいう印度哲学科)の教授、学習院時代には、いまの陛下と同級であったという。だからお年は訊かないでもすむ。五十七。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども自分は「奥義書ウパニシャット」を読んだ。読み、且、思索を重ねた。自分は生来の鈍根で見得けんとくするところ甚だ浅薄な男であるが、それでもだうやらぼんの本義をやや会得することが出来たやうである。
盗まれた手紙の話 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)