梟首きょうしゅ)” の例文
「牢内打首」より一段重い死刑は、牢内打首と同じ段取りで打った首だけをさらに梟首きょうしゅするもので、「獄門ごくもん」とよばれるのがそれであった。
せいばい (新字新仮名) / 服部之総(著)
信長に至っては自家集権を欲するに際して、納屋衆の崛強くっきょうにくみ、之を殺して梟首きょうしゅし、以て人民を恐怖せしめざるを得無かったほどであった。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
五人共に同じ場所に梟首きょうしゅしてあったのを、家康が鷹野に出た途上でこれを見て、帰城の後刑吏を召して
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
五月十九日の夜、家里松濤が刺客のために京師の客舎に害せられ、翌日四条河原に梟首きょうしゅせられた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その不快なる顔、垣の上にヌト出でて、あたかも梟首きょうしゅせられたるもののごとくに見ゆ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
正月下旬、千種有文ちぐさありふみの家来賀川はじめを襲撃した中にもいたというし、つい先頃の足利尊氏あしかがたかうじの木像梟首きょうしゅ事件にも、かかわっていたという風説がある。学問好きで、そんな実行家じゃないと思ったが
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのあとへ別に一つの「梟首きょうしゅ」が行われました。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
文久三年三月、梟首きょうしゅされた尊氏たかうじ父子の木像に迎えられて将軍が上洛してのちは、政治の舞台は完全に京都に移され、一種の二重政府状態のままで、幕府は散々な目にあっている。
尊攘戦略史 (新字新仮名) / 服部之総(著)
ずや北斎は獄門にかけたる罪囚の梟首きょうしゅに対して、その乱れたる長き頭髪は苦悩の汗にれ、喰縛くいしばりたるくちびるより真白き歯の露出せるさまを見ても、なほかつ平然としてこれを写生せるが如き
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)