条理すじみち)” の例文
旧字:條理
何物を犠牲にしても生きなければ成らなかったような一生の危機に際会したものが、どうして明白な、条理すじみちの立った、矛盾の無い、道理にかなったことが言えよう。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
第一条理すじみちがたっていないよ。まるで、雲をつかむように漠然ばくぜんとしている。そうかと思うと、突然、大声をはり上げて、「貴様はあんなあなだ!」って怒鳴どなりつけるんだ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
だれ一人として、未来の生活について条理すじみちの立った文句の言える者がなかったからでありました。
あくる日帰って来た紋三郎には口惜くやしくっても喧嘩のことは話されず、もとより条理すじみちの立った事ではない、酒の上の悪戯いたずらを懲らした方は、男が可いけれども、親方は身内のこと
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
盲滅法めくらめっぽうと云う奴だ。それでは必ずことを仕損しそんじるよ。物事はまずはっきりと条理すじみちを立ててから……
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
おおせ聞けられ承りまする内に、条理すじみちわきまえず、僧都にも分らぬことのみではござりますが、ただ、黒潮の抜身ぬきみで囲みました段は、別に忌わしい事ではござりませんように、老人にも
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)