本間ほんま)” の例文
姉さんがおいいやすのが本間ほんまに違いおへんやろ。自分も好きで世話になってる旦那があるのやったら、あんなものやおへん。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
醜い三沢の付添いは「本間ほんまに器量のいものは徳やな」と云った風の、自分達には変に響く言葉を使って、二人を笑わせた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二つのコップを囲んでは、鼻眼鏡をかけた老紳士と、大学の制服を着た本間ほんまさんとが、また前のように腰を下している。
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
また山形県酒田さかたの富豪本間ほんま氏がその子弟の教育を小学程度にとどめてそれ以上を学ばしめざるのみか、氏一家の反対に由って今なお中学の設置を酒田町に見ざる類の
婦人と思想 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
陸軍大将りくぐんたいしょうになった本間ほんまさんなんか三人扶持ぶち足軽あしがるだった。実業界ではばをきかしている綾部あやべさんがせいぜい五十石さ。溝口みぞぐち叔母おばさんのところが七十石。おまえのおかあさんの里が百石
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
本間ほんま一門の名家がやしきを構えているのもこの町であります。有名な庄内米しょうないまいのことは他の本が語るでありましょう。ここは船の出入ではいりが多かったため、昔は船箪笥ふなだんすを作った所として名がありました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
……うたがや、どっちでも疑えますけど、姉さんが泣き泣きいうのをみると、やっぱり貰われたのが本間ほんまどすやろ。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
幼稚園にはいっていた僕はほとんどだれにもいじめられなかった。もっとも本間ほんまの徳ちゃんにはたびたび泣かされたものである。しかしそれは喧嘩けんかの上だった。
追憶 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
海一つむこうへ渡ると日の目が多い、暖かじゃ。それに酒が甘くて金が落ちている。土一升に金一升……うそじゃ無い、本間ほんまの話じゃ。手を振るのは聞きとも無いと云うのか。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これは自分より二三年前に、大学の史学科を卒業した本間ほんまさんの話である。本間さんが維新史に関する、二三興味ある論文の著者だと云う事は、知っている人も多いであろう。
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「そりゃ本間ほんまどす」と女主人は真面目まじめな顔になって
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)