未醒みせい)” の例文
真先まっさきに立ちたる未醒みせい君、立留たちどまって、一行を顧みた。見ればまさしく橋は陥落して、碧流へきりゅういわむ。一行相顧みて唖然あぜんたり。
「コラ、そんな事をいうと、天狗様の罰が当るぞ」と、未醒みせい子は眼を剥く。先生の相貌、羅漢に似たる為か、アーメンはよくよく嫌いと見えたり。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
現に裏の畑には芋も大根もあるのに、それを掘るのが面倒なのか、高い缶詰を売付けようとするのか、不親切もはなはだしいので、未醒みせい子大いに腹を立て
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
あとに続く木川子、それにかく申す吾輩、殿軍しんがりとしては五尺六寸ヌーボー式を発揮した未醒みせい画伯、いずれも着茣蓙きござを羽織って、意気揚々塩原しおばらへこそ乗りこんだり。
栗生くりう峠はなかなか難所だが馬で越すことが出来るそうだ。どうだ、一つ峠の凸凹道を馬上うまで越そうではないか」といい出したのは未醒みせい画伯。随分乱暴な話だ。
その内に未醒みせい画伯の巨大なる躯幹くかんがノッソリ現われると、間もなく吉岡将軍の髯面ひげづらがヌッと出て来る。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)