木梢こずえ)” の例文
女子おなごの世に生れし甲斐かい今日知りてこの嬉しさ果敢はかなや終り初物はつもの、あなたは旅の御客、あうも別れも旭日あさひがあの木梢こずえ離れぬ内
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
車漸く進みゆくに霧晴る。夕日ゆうひ木梢こずえに残りて、またここかしこなる断崖だんがいの白き処を照せり。忽にじ一道いちどうありて、近き山の麓より立てり。幅きわめて広く、山麓さんろくの人家三つ四つが程を占めたり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこには、紫丁香花むらさきはしどいや黄いろい針金雀児はりえにしだの株を植えこんだ、イギリス風の花壇が二つ三つ散在し、五六本の白樺がそこここに小さい木立となって、細かい葉をつけた疎らな木梢こずえをもたげている。