朝家ちょうか)” の例文
「はははは。よそながらの程度なら、今を初対面とするがよい。これからはいずれも、朝家ちょうかの臣義貞であり、朝家の臣、道誉どうよだからの」
さらに第三にはその朝家ちょうかの嘗の祭が永い歳月の間に意識してもしくは自然に、大なる改定を加えられていたからである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「よういわれた。義貞の希いも、一に朝家ちょうかのご安泰のみ。もし世が逆賊の手になど渡らば、この国のすがたはない。……しかるに」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なるほど、朝家ちょうかの御被官であるだけでなく、幕府の御家人でもおわせられたの。こりゃ、むずかしかろ」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい。その御迷惑も、お察しせぬではございませぬ。……けれど、妻へいただいたあのお薬苞くすりづとは、朝家ちょうかの典医寮でなくては用いぬ物かとぞんじまする。で、じつはにわかに」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何は忍んでも、尊氏と和すことが、天下万民のため、朝家ちょうか御安泰のため、また、新田どの御自体のためにも、最善であると思い、それは今でも誤りであったとは考えませぬ。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
合点がてんです。元々朝家ちょうかのおん為に、身も家もささげたてまつる所存にござりますれば」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尊氏のすすめをいれて、いくさをめ、ここの大本営を出で給う上からは、そしてあとの処置も御運命も敵まかせであるからには、どうつくろっても、朝家ちょうかの屈辱たることにかわりはない。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世の敵と、憎む理由は、これまでは尊氏が、朝家ちょうかに弓をひき、逆賊の名を負っても、なおその野望をかえるふうもなかったからであるが、その彼が、朝家のおん一ト方の院宣を持って
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)