書判かきはん)” の例文
「どうじゃ。十郎次、よくみい! そちを坊主にさせた仔細これで相解ろう。早う名の下に書判かきはんせい」
奥には和泉屋市兵衛殿としるし、松浦弥左衛門という我が名を大きく書いて、書判かきはんも据えてあった。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
七月九日ひととほり申し立てたる後、九月五日、十月五日両度の呼び出しもさしたる鞠問もなくして、十月十六日に至り、口書読み聞かせありて、ただちに書判かきはんせよとのことなり。
留魂録 (新字旧仮名) / 吉田松陰(著)
と、命じ、さらに硯筥すずりばこをこれへと求めて、恵瓊の眼のまえで書判かきはんしるした。そして白い小皿のうえに左手の小指をかざし、刃をあてて血しおを出し、書判のわきへさらに血判を加えた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一、この回の口書くちがき甚だ草々なり。七月九日一通申立てたる後、九月五日、十月五日両度の呼出しも、差したる鞠問きくもんもなくして、十月十六日に至り、口書読み聞かせありて、直ちに書判かきはんせよとの事なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)